【新人漫画家向け】連載作品の物語の流れはどのように決める?

【新人漫画家向け】連載作品の物語の流れはどのように決める?

By MANZEMI

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質問箱:連載の流れをどうやって決める?

※質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。

レギュラーとストーリー

長い話のイメージが、100ページほどの作品なのか、単行本1冊200ページ前後の作品なのか、3巻ぐらいに渡る作品なのか、10巻かそれ以上の長さの作品なのか、そこがわかりませんが。
基本的な対処方法は3つぐらい、ありそうですね。

その説明の前にまず、漫画や小説やTVドラマには、レギュラードラマとストーリードラマの、大きく2つの種類があります。

レギュラードラマは、1話完結の短編で主人公は同じ。漫画なら通常の『サザエさん』や『ドラえもん』や『ちびまるこちゃん』、テレビドラマなら水戸黄門や遠山の金さんなどですね。

レギュラードラマでは、主人公は〝基本的に〟成長せず、話は毎回リセットされます。

例えば、ちびまる子ちゃんのクラスにインドからの転校生がきて、何か事件が起きても、次回からその転校生は再登場することはほとんどなく、何事もなかったように日常生活が描かれます(もちろん例外もあります)。

主人公が成長して終了

石井まさみ先生の『750ライダー』とか、ずっと高校生で歳をとらず、何回もクリスマスのエピソードがあったり、『ハイスクール奇面組』では高校3年間を終わったら、タイムマシーンで過去のエピソードを描くという体裁で、数年間連載が続きましたが。
漫画の長期連載ではよくある話です。

一方、ストーリードラマは、主人公が成長して終わる物語です。

もっともコレも、作品の人気が高まると、連載を辞めるに辞められず。本宮ひろ志先生が『男一匹ガキ大将』で主人公を殺して話を終わらそうとしても、編集部が勝手に原稿に手を加えて連載を続行したりという弊害もありますが。

このハイブリッド型で、『美味しんぼ』はたまに前後編があり、究極対至高で1巻まるまるの場合もありますが、基本1話完結でレギュラードラマ。でも、山岡士郎が結婚して子供が生まれ、海原雄山と和解したりと、ストーリードラマの側面もありますね。『西遊記』がそのタイプの原型です。

長期連載に向くのは?

劇場版の『クレヨンしんちゃん』で、『モーレツ! オトナ帝国の逆襲』と『アッパレ! 戦国大合戦』という大傑作を撮った原恵一監督が、以降の作品から離れたのは、レギュラードラマであるクレヨンしんちゃんで、しんちゃんが成長せざるをえない内容を描いたから、という側面はありますね。

成長を描いたら、そこで終わりになるべきものですから。

さて、ようやく本題ですが、長い話が苦手なら、まずはレギュラードラマを狙うのが王道かと思われます。
一般に、ストーリードラマよりもレギュラードラマのほうが、長期連載になるといいます。
ただし、爆発力はストーリードラマが上ですが。

ストーリードラマが苦手でも、作家の戦略として必要ならば、次に試すべきは?

最初の1話完結の物語を作ったら、そのキャラクターでレギュラードラマの2話目と3話目を作って、その1話から3話までに、成長の要素を入れてみる、という作り方です。

びっくり鉄火櫃まぶし

MANZEMI講座のOBであるK先生が、漫画onWebのネーム大賞で2位を取ったときの指導方法がまさにこれでした。

最初は、8ページほどのショート作品だったのですが、これに同じく8ページの2話目と3話目を作って、合計24ページの短編にしたものです。やり方はコレと同じです。

24ページの作品ができたら、次に24ページ前後の続編をさらに2話創る。

こういう形で、レギュラードラマをベースにしつつ、ストーリードラマ化することが可能です。
レギュラードラマの練習にも、ストーリードラマの練習にもなるでしょう。

長大構想主導型の物語

3つ目は、壮大な構想を作って、それを消化していく形です。

みなもと太郎先生は坂本龍馬の活躍を描きたくて、でもそれを説明しようと思ったら、関ヶ原の戦いから描かないとで、何十年にも渡る大長編になりましたが。

そういう意味では、永野護先生の『ファイブスター物語』のように、年表を創るのもありでしょう。

ただ、そういう壮大な物語を作っても、発表できるか・発表しても連載が続くか、という問題もありますので。

個人的には、レギュラードラマを積み重ねて、ストーリードラマにする手法を鍛えるほうが、結果的に良いと思いますけどね。
そういう意味で、『美味しんぼ』からは、いろんなことを学びました。


https://mond.how/ja/manzemi_bot
この質問箱では、もう一歩踏み込んだ回答を心がけていますので、質問をお待ちしています。

※本記事はMANZEMI講師のnote記事を承諾を得て転載したものです。