【漫画家志望者向け】深みのあるキャラとは

【漫画家志望者向け】深みのあるキャラとは

By MANZEMI

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質問箱:ひんしゅくを買うキャラクター

質問箱に寄せられた質問を、別途アーカイブしておきます。また随時、加筆修正を加えていきます。

なかなか難しい質問ですが、答えられる範囲で。

20%に愛されれば良い

週刊少年ジャンプの『バクマン!』の作中でも指摘されていましたが、連載を打ち切られないためには、読者の2割に評価されれば良い、という面があります。逆に言えば、8割の読者には嫌われてもいいから、2割に深く刺されば良い、と言えます(この深くがとても難しいのですが)。

薩摩藩の、幕末の名君である島津斉彬公の遺訓にも、誰からも評価される人間は八方美人で、いざというときに重要な決断ができないので要職に就けてはいけない、という意味の言葉があります。日本の文化では無難な、欠点の少ない人間を選びがちですが。それではダメだと、斉彬公は指摘されているのです。

漫画家は個人事業主ですから、役員や専務という要職どころか、社長です。まず、作者自身が自己責任で決断できなければ、キャラクターに魅力も生まれにくいのかもしれません。それは、一部のファンに深く愛されるのなら、多数に嫌われる覚悟……と言ってもいいのかもしれません。

深みのあるキャラとは

魔夜峰央先生は、自分の中にないキャラクターは描けない、描いても上滑りすると語っておられました。自分の中の一部を切り取って、誇張したり簡素化して、キャラクターは作るモノなので。自分の中に、そのキャラクターの種がないと、細部にリアリティが出ないのでしょう。

多様なキャラクターや深みのあるキャラクター、独自性のあるキャラクターは難しいでしょう。では、自分を磨くには、どうしたら良いか? 平凡で単純ですが、永久保貴一先生が大学時代、脚本の講義の講師から教わった方法を、MANZEMI講座では教えています。その方法は……。

「1日に14人以上の人としゃべる」それだけです。漫画家と言うと、仕事場に引きこもって黙々と絵を書いているイメージがありますが。作品作りの基本はコミュニケーションです。作家は作品を利用して読者とコミュニケーションをとり、笑ったり泣かせたりする仕事です。

他者を楽しませよう

目の前で話している人から自分の話に興味を持ってもらえなくて、どうして読者から興味を持ってもらえるでしょうか? 目の前の人を笑わせられなくて・泣かせられなくて、どうして読者を笑わせたり泣かせたりできるでしょうか? そんなの無理ですよね?

実際にプロの漫画家に会うと、おしゃべりが上手で、他人を惹きつける滑らない話を、サラッと披露されたりします。ギャグ漫画家の人は逆に、意外と物静かな人もいたりします。「目立ちたがり屋のくせに恥ずかしがり屋だから漫画家になった」なんて話を、ある漫画家さんから伺ったこともあります。

表現の基本はコミュニケーション、です。作品の基本もコミュニケーション。そうやってコミュニケーションをする中で、作品のモデルになるような破天荒な人と出会い、自分の中に取り込むのもまた、ひとつのキャラクター造形の方法論ではないでしょうか?


https://mond.how/ja/manzemi_bot
この質問箱では、もう一歩踏み込んだ回答を心がけていますので、質問をお待ちしています。

※本記事はMANZEMI講師のnote記事を承諾を得て転載したものです。